
「申し送りで何を伝えればよいのかわからない」
「話している途中で、先輩看護師から質問されて焦ってしまう」
「情報を全部伝えようとして、話が長くなってしまう」
看護師として働いていると、申し送りに苦手意識を持つことがあります。
私も慣れない頃は、情報を漏らさないことばかり考え、カルテに書かれている内容を最初から順番に伝えていました。
しかし、申し送りで大切なのは、情報をたくさん話すことではありません。
次の勤務者が、安全に看護を続けるために必要な情報を、優先順位に沿って伝えることです。
この記事では、看護師の申し送りを効率よく行うコツや、伝える順序を具体例とともに紹介します。
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結論|看護師の申し送りは「変化・対応・今後」の順で伝える
看護師の申し送りをわかりやすくするコツは、患者さんの情報を次の順序で整理することです。
- 患者さんの基本情報と現在の状態
- 勤務中に起きた変化
- 変化に対して行った対応
- 対応後の結果
- 次の勤務者に確認してほしいこと
特に重要なのは、前の勤務帯から何が変わったのかを伝えることです。
患者さんの入院から現在までの経過をすべて話す必要はありません。
すでに共有されている情報や、カルテを見ればわかる情報を省き、現在の看護に影響する内容を中心に伝えます。
たとえば、次のような内容です。
申し送りの前に、これらを短くメモしておくだけでも、話がまとまりやすくなります。
理由|申し送りの目的は情報共有ではなく看護の継続だから
申し送りは、勤務中にあった出来事を報告するだけの時間ではありません。
目的は、患者さんの安全を守りながら、次の勤務者が看護を継続できるようにすることです。
そのため、情報の量よりも、内容の優先順位が重要になります。
情報をすべて話すと重要な内容が埋もれてしまう
申し送りに慣れていないと、伝え漏れが怖くなり、カルテに書かれている情報をすべて話したくなります。
しかし、情報量が多すぎると、本当に重要な変化が伝わりにくくなります。
たとえば、次のような申し送りです。
「昨日入院して、既往歴は高血圧と糖尿病があって、家では奥さんと暮らしています。朝はご飯を半分食べて、昼は全量食べました。午後にトイレへ行って、その後ベッドで休んでいました。夕方に少し熱が出ました」
この伝え方では、聞き手は何が重要なのかを判断しながら聞かなければなりません。
次のように変えると、要点が伝わりやすくなります。
「肺炎で入院中です。夕方から38.2度の発熱があり、呼吸数が18回から26回に増えました。SpO2は室内気で90%まで低下したため、医師へ報告しています。酸素2L開始後はSpO2 95%です。夜間も呼吸状態と発熱の経過を確認してください」
重要な変化、対応、現在の状態、今後の観察が短い時間で伝わります。
先輩看護師から質問されるのは情報のつながりが見えないことが多い
申し送り中に先輩看護師から質問されると、「自分の勉強不足かもしれない」と落ち込むことがあります。
もちろん、確認不足の場合もあります。
一方で、話の中に必要な情報が含まれていても、順序が整理されていないために質問されるケースも少なくありません。
たとえば、「血圧が下がりました」とだけ伝えると、次のような疑問が残ります。
状態の変化を伝えるときは、いつ・どの程度・症状・対応・現在の状態をセットにします。
「14時頃、血圧が普段の130台から70/50mmHgまで低下しました。
冷汗がありましたが、意識は清明です。
医師へ報告し、生理食塩水500mLを開始しました。現在は106/62mmHgまで上昇しています」
このように伝えると、状況の流れが見えやすくなります。
次の勤務者が知りたい情報を意識すると短くなる
申し送りをするときは、自分が話したい内容ではなく、次の勤務者が知りたい内容を考えます。
次の勤務者が知りたいのは、主に以下の情報です。
この視点を持つと、申し送りに必要な情報を選びやすくなります。
「事実」と「判断」を分けると伝わりやすい
申し送りでは、事実と自分の判断を混ぜないことも大切です。
たとえば、「患者さんが元気ありませんでした」という表現では、人によって受け取り方が変わります。
次のように具体的な事実を添えます。
「普段は自分から会話がありますが、今日は呼びかけに対して短い返答のみでした。食事摂取量も10割から3割へ低下しています」
そのうえで、
「発熱や疼痛はありませんが、普段と様子が違うため、夜間も意識状態と食事・水分摂取量を確認してください」
と伝えます。
観察した事実を示したうえで看護師としての判断を伝えると、申し送りの説得力が高まります。
具体例|看護師の申し送りを短くまとめるコツ
ここからは、実際の申し送りで使いやすい順序と具体例を紹介します。
基本は「患者情報・変化・対応・結果・依頼」の5段階
申し送りは、次の5段階で組み立てると整理しやすくなります。
1.患者さんの基本情報と治療目的
最初に、患者さんの疾患や現在の治療目的を短く伝えます。
「肺炎で抗菌薬治療中です」
「大腿骨頸部骨折の術後2日目です」
「心不全で利尿薬を使用し、体液量を調整しています」
長い入院経過は省き、現在の看護に関係する情報を伝えます。
2.勤務中に起きた変化
次に、前の勤務帯と比べて変化した内容を伝えます。
数値で示せる情報は、できるだけ具体的に伝えます。
「熱が出ました」ではなく、
「16時に38.3度まで上昇しました」
と伝えたほうが、状態をイメージしやすくなります。
3.行った対応
変化に対して、どのような対応をしたのかを伝えます。
医師へ報告した場合は、指示内容も一緒に伝えます。
「医師へ報告済みです。38.5度以上で血液培養採取後、解熱剤を使用する指示が出ています」
指示が出ているだけで、まだ実施していない場合は、その点も明確にします。
4.対応後の結果
対応した後、患者さんがどうなったのかを伝えます。
「解熱剤使用後、体温は37.4度まで低下しています」
「酸素2L開始後、SpO2は95%を維持しています」
「鎮痛薬使用後、疼痛はNRS:8から3へ軽減しました」
対応した内容だけでなく、効果まで伝えることで、現在の状態がわかります。
5.次の勤務者への依頼
最後に、継続して確認してほしい内容を伝えます。
「夜間も発熱と呼吸状態を確認してください」
「22時に血圧の再検をお願いします」
「尿量が少ないため、次回排尿量を確認してください」
「眠前薬を変更しているため、入眠状況とふらつきを確認してください」
申し送りの最後に依頼事項を入れると、聞き手が行動に移しやすくなります。
申し送り前に確認したい項目
申し送り前は、次の項目を確認します。
すべての項目を毎回伝えるのではありません。
患者さんの疾患や状態に応じて、必要な情報を選びます。
SBARを使うと急変時の報告にも応用できる
申し送りの順序に迷う場合は、SBARを意識する方法があります。
SBARは、情報を次の順番で整理する方法です。
たとえば、次のように整理します。
「肺炎で入院中の患者さんです。18時頃からSpO2が90%へ低下しています。これまでは室内気で95%前後でした。痰が増え、呼吸数は28回です。酸素2Lを開始し、現在は94%です。夜間もSpO2と呼吸状態を確認してください」
SBARは申し送りだけでなく、医師への報告や急変時の連絡にも活用できます。
疾患別に観察項目を決めておく
申し送りを短くするには、疾患ごとの重要な観察項目を理解しておくことも必要です。
心不全の場合
- 呼吸状態
- SpO2
- 浮腫
- 尿量
- 体重
- 点滴量
- 水分摂取量
- 利尿薬の使用状況
肺炎の場合
- 体温
- 呼吸数
- SpO2
- 痰の量や性状
- 酸素投与量
- 食事・水分摂取量
- 抗菌薬の投与状況
術後患者の場合
- バイタルサイン
- 疼痛
- 創部やドレーン排液
- 出血の有無
- 離床状況
- 食事の開始状況
- 排尿・排便
- 術後合併症を疑う所見
疾患ごとの観察ポイントがわかると、申し送りで優先すべき情報も自然に見えてきます。
申し送りが長くなるときは「前回との変化」を確認する
申し送りが長くなりやすい場合は、話す前に次の質問を自分に向けます。
「前の勤務帯と比べて、何が変わったのか」
変化がない項目は、無理に詳しく話す必要はありません。
たとえば、
「バイタルは著変ありません」
「食事は全量摂取し、排泄も問題ありません」
「点滴は予定どおり終了しています」
と短くまとめられます。
一方で、変化があった項目は詳しく伝えます。
情報に強弱をつけることで、聞きやすい申し送りになります。
曖昧な言葉を具体的な表現に変える
申し送りでは、「少し」「たくさん」「元気がない」などの曖昧な言葉を避けます。
| 曖昧な表現 | 具体的な表現 |
|---|---|
| 熱が少しあります | 16時に37.8度です |
| 尿が少ないです | 8時間で尿量200mLです |
| 食事をあまり食べていません | 昼食は主食2割、副食3割です |
| 痛みが強いです | 安静時NRS6、体動時NRS8です |
| 痰が多いです | 1時間に2回程度、吸引が必要です |
| 元気がありません | 会話が減り、食事摂取量も低下しています |
数値や観察した事実を伝えると、聞き手との認識のずれを減らせます。
申し送りメモは文章ではなく単語で作る
申し送り用のメモを長い文章で書くと、読み上げるだけになりやすくなります。
メモは、次のように単語や短い文でまとめます。
- 肺炎、抗菌薬3日目
- 16時 38.3度
- 呼吸数26回、SpO2 90%
- 医師報告、酸素2L開始
- 現在SpO2 95%
- 夜間:呼吸状態、発熱確認
- 38.5度以上で血培・解熱剤指示
このメモを見ながら、自分の言葉で話します。
伝える順番が見えるため、途中で話が飛びにくくなります。
先輩看護師から質問された内容を次回に活かす
質問されたときは、「また突っ込まれた」と落ち込むよりも、次回の申し送りに活かす材料として整理します。
たとえば、
「尿量はどのくらいだった?」
と質問された場合は、その患者さんでは尿量が重要な観察項目だった可能性があります。
「酸素を始めた後、呼吸数はどうなった?」
と聞かれた場合は、SpO2だけでなく呼吸状態全体を評価する必要があります。
質問された内容をメモしておくと、患者さんの状態を見る視点が増えていきます。
申し送りに入れなくてよい情報もある
申し送り時間を短くするためには、伝えない情報を決めることも必要です。
次のような内容は、患者さんの状態に影響しない場合、省略できることがあります。
ただし、病棟のルールや患者さんの状態によって必要な情報は異なります。
病棟内で申し送りの形式が決まっている場合は、その方法に沿って整理します。
結論|看護師の申し送りは優先順位を決めるとわかりやすくなる
看護師の申し送りを効率よく行うコツは、情報をたくさん伝えることではありません。
患者さんに起きた変化と、次の勤務者が行う看護をつなげることが大切です。
申し送りは、次の順序で整理します。
- 患者さんの基本情報と現在の治療
- 勤務中に起きた変化
- 変化に対して行った対応
- 対応後の結果
- 次の勤務者に確認してほしいこと
特に意識したいのは、以下のポイントです。
申し送りは、経験を重ねながら少しずつ身についていくものです。
最初から短く完璧に話そうとすると、かえって焦ってしまいます。
まずは担当患者さんの中から1人を選び、**「変化・対応・結果・今後」**の4項目でメモを作るところから始めると整理しやすくなります。
先輩看護師から質問された内容も、看護の視点を増やすヒントになります。
一つずつ振り返りながら、自分が使いやすい申し送りの型を作っていくことが大切です。
今回は申し送りのコツをまとめてみました。
次回は情報収集やワークシートの書き方もまとめたいと思っています。

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